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テリーギリアムのドンキホーテネタバレ感想と考察。皮肉いっぱい、不条理な夢と現実を旅する冒険

映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」を観てきました!

テリー・ギリアムのドン・キホーテ(原題: The Man Who Killed Don Quixote…ドン・キホーテを殺した男)は、構想30年、制作を試みて19年の間に9回も頓挫して、その様子もドキュメンタリー映画になっちゃった…幻の映画、呪われた企画とも呼ばれてきました。

モンティ・パイソンのメンバーであり「未来世紀ブラジル」「Drパルナサスの鏡」など、奇抜で不条理で、鋭いユーモアあふれる映画ばっかり作ってきたテリー・ギリアムの、悲願がついに実現!

この記事では、映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」のネタバレ感想を考察をまじえて書いていきます

かおり
かおり
ネタバレ感想&考察です

テリー・ギリアムのドン・キホーテ…子どもの頃からテリー・ギリアム作品ファンの私としては、最高でした♡

感想を一言で言うなら「監督の夢の世界を、観客も一緒にさまよい歩くような体験」でした!

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テリー・ギリアムのドン・キホーテの作品概要・あらすじ

テリー・ギリアムのドン・キホーテ(The Man Who Killed Don Quixote)
2018年・アメリカ
監督:テリー・ギリアム
出演:アダム・ドライバー/ジョナサン・プライス/ステラン・スカルスガルド/オルガ・キュリレンコ/ジョアナ・ヒベイロ/オスカル・ハエナダ/ジェイソン・ワトキンス/セルジ・ロペス

あらすじ

仕事への情熱を失くしたCM監督のトビーは、スペインの田舎で撮影中のある日、謎めいた男からDVDを渡される。偶然か運命か、それはトビーが学生時代に監督し、賞に輝いた映画『ドン・キホーテを殺した男』だった。
舞台となった村が程近いと知ったトビーはバイクを飛ばすが、映画のせいで人々は変わり果てていた。ドン・キホーテを演じた靴職人の老人は、自分は本物の騎士だと信じ込み、清楚な少女だったアンジェリカは女優になると村を飛び出したのだ。
トビーのことを忠実な従者のサンチョだと思い込んだ老人は、無理やりトビーを引き連れて、大冒険の旅へと出発するのだが──
テリー・ギリアムのドン・キホーテ:公式サイト

テリー・ギリアムのドン・キホーテ予告編はこちら

テリー・ギリアムのドン・キホーテ感想と考察(ネタバレ有)


以下、異色のファンタジー・アドベンチャー作品「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」、個人的な感想と考察(ネタバレあり)です。

アダム・ドライバー、パンツ一丁でもかっこいい。ジョナサン・プライスの好々爺ぶりも愛しい!

気鋭のCM監督トビー役で登場するアダム・ドライバーさん。恐れ入りますが「最近人気の人ね」ぐらいの認識しかなかった・・・スターウォーズみてないし・・・

で、すごいかっこいいね、アダム・ドライバーさん!

味があるお顔と、長身と、甘ったるい声がすてきだわね!人気の理由がわかったわ(鼻息)!!!

キレイなスーツで尻を振っていても、パンツ一丁で走り去っても、汚い顔と汚いポンチョでロバに乗ってても、中世の紳士衣装でも、華があって、目が釘付け。

自称ドン・キホーテお爺さんを演じるジョナサン・プライスも、いい!お目目キラキラの好々爺ぶりがチャーミングで、ずっと見ていたい♡

舞台みたいな大げさな台詞回しが、ものすごくハマる(この人歌って踊れる舞台人なんですよね)。

(愛しすぎて絵を描いたw)

「未来世紀ブラジル」で主演、「バロン」では冷徹な敵役と、テリー・ギリアム作品の常連 (有名なところだとパイレーツ・オブ・カリビアンでエリザベスのお父さん役)。

Netflix映画「二人のローマ教皇」でもアルゼンチン人枢機卿の役でしたが、ドン・キホーテでもスペイン語とスペイン訛りの英語をペラッペラ喋るんです、ジョナサン・プライス。イギリス人だけど。いよっ!芸達者!

中国資本にポリコレ、映画製作の現実。皮肉の裏に込められたメッセージは?

物語の舞台はスペイン、主人公のCM監督トビーとチームによる「ドン・キホーテ」風CM映像製作風景から始まり…

現場ではトラブル、取り巻きは「アンタ天才天才」と褒めそやすけど、監督当人は煮詰まってインスピレーションを求めて散歩。これ、テリー・ギリアム自身を描いていますよね。

プロデューサーや会社は、当たり前だけどお金中心に考えていて、中国資本スポンサーの顔色をうかがわなきゃいけない。

今時、LGBTや環境など各方面に配慮も必要ね…と、映画産業の現状、ポリティカル・コレクトネスを過剰に求める風潮を皮肉ってみたり。

続いてイスラム教徒=テロリスト扱いして怯えるアメリカ人、なんつー描写も出てきて、無知や差別を批判。

かおり
かおり
基本的に皮肉とブラックめなユーモアが多い作風。

しばしば自身の差別発言、問題発言で批判される、テリー・ギリアム…彼がこの映画で言いたい事って何でしょう?

お前ら、差別主義者を責めて、ポリコレポリコレわめいているけど、無知や差別はお前の中にもあるんじゃないか?

おれの映画を見た後で「これこそが正しい」なんて言い切れるものが本当にあるか?と挑まれているようにも感じました。

正気を失くした老人と、若きクリエイターはテリー・ギリアム自身

監督志望の学生だったトビーと出会い「ドン・キホーテ」役として学生映画の主演に抜擢された、村の靴職人ハビエル爺さん。靴職人だからお芝居なんて当然できない。困る!

ところがある日、ハビエル爺さんは突然目覚めたかのように、生き生きとドン・キホーテを演じ始めます。

学生映画の完成から10年後、村で再会したハビエルは、自分自身を忘れて、ドン・キホーテとして生きていた!!

かおり
かおり
うっそまじか!爺さんヤバイよ!!

そもそも「ドン・キホーテ」のもとの物語は「騎士道物語に没頭しすぎて、自分を騎士だと思い込んでしまった男」の話。

平和に暮らしていた爺ちゃんのなかに、オリジナルのドン・キホーテと同じ狂気が芽生え、人生が狂ってしまうんですよ。ひいい…

CM監督のトビーは、ハビエル爺さんが「ドン・キホーテ」になってしまったのた、自分が映画に巻き込んでしまったせいだ…と罪悪感にさいなまれながら、老人に「ドン・キホーテの従者、サンチョ」と呼ばれ、探索の旅(どっちかというと逃避行か)に出ることに。

無邪気に狂ってる人&人生を狂わせた原因を作ってしまった男の珍道中、という構図はテリー・ギリアムの90年代の監督作「フィッシャー・キング」と同じ。

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嫉妬深い男(制作会社のエライ人:ステラン・スカルスガルド)と、美しい人妻、囚われた姫、残忍な王様(ロシア人スポンサー)。という登場人物も、テリー・ギリアム的。「バロン」が思い浮かびました!

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ちなみに、「妄想や夢を信じる男」「騎士となり、探索の旅に出て、戦う」という流れはテリー・ギリアム監督作によく登場します。考えると、ほとんど全部が「ドン・キホーテ的」な物語。

これが、ギリアムの何十年もの創作の根底にある「夢」なんでしょうね。

監督自身が「探索の旅に取り憑かれた騎士(狂人)」であり、また、映画の世界で夢と現実に振り回されるクリエイターも、どちらもギリアムの分身として描かれていると思います。

ハビエル老人は本当に狂っていたのか?狂言回し(ジプシー)の役割は?

後の展開を踏まえると「10年前の撮影中、靴職人のお爺さんが突然ドン・キホーテに目覚めた」シーンについて考えたくなります。ハビエル役のジョナサン・プライスの鬼気迫る演技もあって、目を見張っちゃう。

…だって、台本読みに没頭していた老人が、突然「キターー!!」って演じることに目覚めたのか

慣れない状況で追い詰められた結果、急にボケがきちゃったのか…!?わからない!という不穏さ!(ゾワゾワ…)

あるいは、これは考察じゃなく妄想ですが

17世紀の昔から土地に眠っていたドン・キホーテの魂が、もう一人の男によって、呼び起こされたのではないだろうか?

騎士を呼び起こしたもう一人の男トビーは、自身もドン・キホーテに成り、夢の世界にのまれていく、元からそういう運命だったのでは?運命っていうか呪い?

そうすると、狂言回しとして登場したジプシーの役割は、二人を運命に導く案内人ですね。冒頭から出てきて物語の流れを操縦し、ドン・キホーテの死と共に退場するのが、暗示的。

この映画では「夢」と「現実」シーンは、どっちがどっちか観ればわかるようには一応なっているけど、

現実シーンでも幻覚が起こるし、舞台になるスペインの田舎町や古城も、中世のよう。「現実なのに現実味が乏しい」ので、惑わされる!

だからか「魔術師に捕らえられたんだ」「私は騎士だ」と言うハビエル老人が狂っている…というのは理解しつつも…

だんだん「まてよ、この人がドン・キホーテじゃないと言い切れるのか?本当に狂っているの?」という、疑いが芽生え「正気と狂気の境目って何だよ?」そんな考えが浮かんできました。

かおり
かおり
ギリアムの狂気に、観ている側の正気が侵食されていく!

素で差別的なギリアムの内面が現れちゃってる?


差別発言で注目を浴びたテリー・ギリアム監督。本作でも、女性キャラクターの描き方が古くさいのでは?という批判があります。

トビーが学生映画制作で出会ったアンジェリカは、小さな村で父親の店を手伝う15歳の少女でした。映画出演をきっかけに、女優志望で都会に→売れずにエスコート嬢→富豪の情婦という人生を歩みます。

DV被害を受け、虐げられて生きる囚われの姫君。トビーを頼って逃げようともするけど、すぐ諦めて、男の言いなりに…

うん、今が1980年代だったら理解できるけど、2018年の女性の描き方としてはちょっとな。「古典の物語が下敷きだし」というのもありますが、支配的な男の元から抜け出す、積極的な行動をもっと観たかった。

美しい人妻は、ただヤリたいだけで迫ってくる中身がない人物で

現場スタッフの女性メリッサ(サラ)は、名前を間違えられるためだけに、3度登場(しかも最終的にどっちでもいいわと言われる)

えーと、女性キャラクターの中身や活躍をしっかり考えて描こうという、意欲が感じられません

今、ディズニー映画でさえ、女性の自立や活躍を描いて、王子様に守られる受け身な女性像はほぼ登場しないけど。

これこそ、そういう現代の風潮への挑戦状なのか?

または、女は華であり、男が争うための景品であればいいやー!という、素のテリー・ギリアムの意識が出ちゃってるのか。

かおり
かおり
どっちなんでしょうね…

結末の意味は?悪党は裁かれないし、敗れた男はドン・キホーテになる

終盤、パーティーの余興として老人を弄ぶ、悪いヤツら。こいつら非道いことをしますが、最終的に罰せられる事もないのは意外でした。

ハビエルは死に、打ちひしがれて錯乱したトビーは、巨人(もちろん正体は風車)と格闘。

冒頭で「トビーはCGI嫌いよね」と言われていたのに、肉付きの良いタプタプの巨人や、肉に目玉ついてるキモい袋など、特段薄気味悪い表現にCGが使われているのも皮肉か?

かおり
かおり
…もはやなんでも皮肉に見えるぞ

負傷して意識を失いかけるトビーに、アンジェリカが呼びかけても応答がないのに、「ドン・キホーテ」と呼びかけると息を吹き返しました。

目覚めたトビーは、アンジェリカを「サンチョ」と呼び、2代目「自称ドン・キホーテ」として荒れ野へ旅立つ…という微妙にバッドなエンディング!

意外とハッピーに終わるんじゃないかと期待していたのですが。

悪党を倒す事もできず、姫を守ったわけでもなく、自分のせいで仲間を死にいたらしめ…ザ・敗北の末、狂って消え去る男、トビー。言葉にするとワオ!悲痛!

「夢が現実を凌駕する」テリー・ギリアム的な展開。

これ、ハビエルとトビーが運命に導かれて、ドン・キホーテとしての永遠の命を受け継いだ、と考える事もできませんか。

もしかしたら近々トビーは正気を取り戻して、アンジェリカと幸せになるのかもしれない(だったらいいな)。そしてどこかで狂言回しのジプシーが微笑み、また別のドン・キホーテが誕生して、そこらへんのサンチョをとっつかまえて、冒険の旅に出るのかもしれません。なんてねー

ところで↑撮影現場のハリボテ巨人くんが、どこかのタイミングで活躍するだろうと勝手に予想していたのが、はずれました(笑)出てくるたびに強烈なインパクトを残すだけだったね、この巨人くん。

テリー・ギリアムのドン・キホーテの評価は?面白い?つまらない?

出典:https://www.rottentomatoes.com

アメリカの老舗映画批評サイト、RottenTomatoesでの批評家の評価(点数)は63%、観客スコアは64%と、まあまあな数字です。

高評価のコメントでは「夢と現実世界の見事な融合」「魅力的なおとぎ話」「すべてのギリアムファン必見」、辛口低評価では「終盤のテンポが悪い」「長い年月待たされたが、良い結果とは思えない」といった意見もありました。

たしかに、ファンタジーと現実がどんどん融合するし、意味不明なことたくさん起こるので、ファンタジー慣れしていない人、え?どういうことなの?って説明が欲しい人には不向きな映画かなと思います。

私は、美しく幻想的で不条理な世界、テリー・ギリアムの夢にどっぷり浸れる作品で大満足!メタファーやユーモアの裏を、あれこれ勘ぐるのも、楽しい(全部皮肉に見えてくる笑)。

かおり
かおり
ファンなら間違いなく楽しめる!

奇想天外な夢と現実を旅する、ファンタジー・アドベンチャー「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」、ぜひ観てみてください♡

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  • バンデットQ(1981)
  • モンティ・パイソン人生協奏曲(1983)
  • バロン(1989)
  • フィッシャー・キング(1991)
  • 12モンキーズ
  • ラスベガスをやっつけろ(1998)
  • ロスト・イン・ラマンチャ(2001)
  • Dr. パルナサスの鏡(2009)
  • モンティ・パイソンある嘘つきの物語(2012)
  • ゼロの未来(2013)

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