話題の映画「女王陛下のお気に入り」を観ました♡
18世紀のイギリス王室を舞台に、女王の「お気に入り」の地位を巡って争う、女性たちの愛憎を描く大人のドラマ。
広角レンズを使った独特な映像と、細部まで凝った衣装、宮殿も美しくて…アカデミー賞主演女優賞を受賞した、アン女王役オリヴィア・コールマンの演技が記憶に焼きついてしょうがない!
女王陛下として生きる孤独、「お気に入り」やウサギたちが女王にとって、どんな意味を持つのか…あれこれ考える楽しみをもらえる作品でした。
この記事では「女王陛下のお気に入り」ネタバレ感想、結末に登場するうさぎシーンについての考察をまとめました。
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女王陛下のお気に入りの作品概要・あらすじ
女王陛下のお気に入り
The Favourite(2018 アイルランド・アメリカ・イギリス)
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ、オリヴィア・コールマン、ニコラス・ホルト、ジョー・アルウィン
あらすじ
18世紀初頭のイギリス王室。国を統治するアン女王(オリヴィア・コールマン)の世話係として、参謀として強大な権力を得ていたのは、女王の幼馴染のレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)だった。
生家が没落し貴族の地位を失った娘、アビゲイル(エマ・ストーン)は、従姉妹のサラを頼り、王宮の召使として雇われる。その才気を買ったサラは、アビゲイルを召使いから女官として取り立て、手駒として利用する。
政治も軍略もサラに頼りきりの女王。権力を盾に好き放題振る舞うサラに対して、疑問を持ち始めたアビゲイルはある日、サラと女王の秘密を知ってしまう。
年齢制限はPG-12
PG12…12歳未満(小学生以下)の鑑賞には、成人保護者の助言や指導が適当とされる区分のこと。
(出典:Wikipedia)
「女王陛下のお気に入り」はPG12指定となっています。モロではないものの、性描写が一部ありますので承知して観たほうがいいかも。
予告編はこちら
女王陛下のお気に入りの登場人物とキャスト
「女王陛下のお気に入り」の登場人物(キャラクター)と、演じるキャストを紹介します!
アン女王(オリヴィア・コールマン)
All in Favour…
Nominated for 10 Academy Awards including Best Picture. https://t.co/91a4vQdKHU#TheFavourite pic.twitter.com/Syrws4SmD5
— The Favourite (@the_favourite) February 19, 2019
フランスと戦争状態にある、18世紀初頭グレートブリテン王国の君主。過食と痛風に苦しむ、情緒不安定な中年女性。政治的ブレーンとして、世話係で幼馴染のサラを頼り、主導権を握られている。
オリヴィア・コールマン
主な出演作:
・ホット・ファズー俺たちスーパーポリスメン!
・マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
・ロブスター
・オリエント急行殺人事件
レディ・サラ/サラ・ジェニングス(レイチェル・ワイズ)
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Nominated for 10 Academy Awards including Best Supporting Actress Rachel Weisz.https://t.co/91a4vQdKHU#TheFavourite pic.twitter.com/KwC9sTXA7x
— The Favourite (@the_favourite) February 15, 2019
名門貴族マールバラ公爵の妻であり、女王の側近。幼馴染として公私に渡って女王を支え、国家の実権を握る女性。鋭い知性と実行力があり、政策や軍事にも意見する大きな影響力を持つ。女王に対しては時折辛辣な言葉を浴びせながらも、信頼を得ている。
レイチェル・ワイズ
主な出演作:
・ハムナプトラシリーズ
・ナイロビの蜂
・マイ・ブルーベリー・ナイツ
・ロブスター
アビゲイル・メイシャム/アビゲイル・ヒル(エマ・ストーン)
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Nominated for 10 Academy Awards including Best Supporting Actress Emma Stone.https://t.co/91a4vQdKHU#TheFavourite pic.twitter.com/YG55KcHCMj
— The Favourite (@the_favourite) February 18, 2019
貴族の身分だったが実家が没落し、親戚であるレディ・サラを頼り王宮の女中になる。薬草で女王の痛風の症状を和らげたことをきっかけに、女官に出世。サラに替わって女王の側仕えをし、宮廷の秘密や謀略を目にするうちに「没落した生家の復興」という野心が芽生える。
エマ・ストーン
主な出演作:
・ラブ・アゲイン
・アメイジング・スパイダーマンシリーズ
・バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
・ラ・ラ・ランド
ロバート・ハーレー(ニコラス・ホルト)
戦争継続を巡ってレディ・サラと対立している、トーリー党の若手政治家。女王の側近となったアビゲイルを利用して、女王に取り入り、議会で優位に立とうと画策する。
ニコラス・ホルト
主な出演作:
・X-MENシリーズ
・ジャックと天空の巨人
・マッドマックス 怒りのデス・ロード
サミュエル・メイシャム大佐(ジョー・アルウィン)
アビゲイルと出会い、恋心を抱く若い貴族。
ジョー・アルウィン
主な出演作:
・ビリー・リンの永遠の一日
・ある少年の告白
・ふたりの女王 メアリーとエリザベス
マールバラ公爵ジョン(マーク・ゲイティス)
Congrats, your Maj! X pic.twitter.com/AJXEYow55p
— Mark Gatiss (@Markgatiss) February 25, 2019
レディ・サラの夫で、陸軍軍人でもある公爵。
マーク・ゲイティス
主な出演作:
・シャーロックシリーズ
・ゲーム・オブ・スローンズ
ネタバレ有/女王陛下のお気に入りのあらすじ
女王と側近のサラの同性愛の秘密を目撃した、アビゲイル。ハーレー卿からは、スパイとしてサラを偵察するよう打診されるも断り、そのことをサラに密告します。さらに「あなたと女王の秘密の関係を知っている」と告白すると、サラはアビゲイルに向けて空砲を撃ち、警告します。
「賢く振舞わねば身の破滅」そう思い知ったアビゲイルは、サラが多忙で不在の間にあの手この手で女王に取り入り、新しい愛人となります。そのことを知ったサラは激昂。女王は女王で、二人の女が自分の寵愛を競う状況を楽しんでいました。
権力を奪おうと、ハーレー卿の要求をのみ、スパイ行為をするアビゲイル。ついにはサラの飲み物に毒を盛り・・・サラは乗馬中に意識を失い重傷、そのまま行方不明に。
アビゲイルはすかさず策を弄して、若い貴族のメイシャムと結婚。憔悴するアン女王の側でサラの後釜に座り、女中の身分から貴族の地位に登りつめ、財産も得たのでした。
サラは命を取り止めて宮殿に戻るものの、女王との間にできた溝が埋められないことに焦り「ラブレターを公開してスキャンダルにする」と女王を脅迫してしまいます。それが原因で追放を言い渡されたサラは、女王に関係修復を望んで手紙を送りますが、アビゲイルが手紙を抜き取り、燃やしてしまいました。
夫とともにサラは追放され、戦争は終わり。宮殿に残されたのは、サラを失った事実に呆然とする女王と、寵愛と権力を得た「新しい愛人」アビゲイル、そしてカゴの中のウサギたちでした。
ネタバレ有/女王陛下のお気に入り:感想
オリヴィア・コールマン演じる、傷つき苦しみながら重責を背負った、孤独な女王
アン女王を演じた、オリヴィア・コールマンがアカデミー賞主演女優賞を受賞。演技も素晴らしかったし、女王の人生と孤独が、心に深く残りました。
18世紀イギリスに実在したアン女王は、結婚して17人の子どもを授かるものの、流産や死産、生まれた子も病気で、17人全員を失ったそうです。自己免疫疾患のせいだと言われています。
「女王陛下のお気に入り」では、寝室でふわふわのウサギを飼い、17人の子どもの代わりとして愛情を注いでいました。
痛風を患いながら、気晴らしをしても過食はやめられず、側近のサラに甘えるか、八つ当たりするか、死にたくなるか。
これってわがままなのか?女王は弱い人間でしょうか?
子どもを全部亡くして、世界一重くてしかも逃げられない仕事「君主」を務め、いろんなものに依存しながらも、なんとか生きている。これって、真似できないすごいことだと私は感じました…
流産、死産を繰り返しながら17回妊娠するって、想像しただけでも悲痛じゃないですか。アン女王がそうしなければいけなかったのは、時代もあるし、世継ぎを残さないといけないからですよね。でも成し遂げられなかった。
姉、姉の夫、それから自分に回って来た王冠。満身創痍でも、死ぬまでやめられない仕事。
冒頭で、アン女王の頭に載っていた王冠が外されるのが、すごく重そう。王冠=女王の重責を表していると思います。
序盤で「舌がもつれるのよね」というセリフがあり、これ脳梗塞フラグね、と思ったら、途中でやっぱり半身マヒになってしまう、アン女王。
顔半分が動きません。
これ、演技なの・・・?すごくない・・・?
しかも周りの人間がマヒを気にとめている様子がない。このまま死んじゃうんじゃないかと思いましたが、ボロボロになりながらも、ちゃんと仕事しようとするんですよ、女王。
最後の方はオリヴィア・コールマンの目を見ていると、女王は自分の壊れ具合も愚かさも全部わかっていて、それでもこうなってしまったという諦めも感じました。
三者三様の「生きるための闘い」
【⚜️#歴史的背景 🏰】
アン女王とサラは、幼少期からの幼馴染👭
二人はモーリー(アン)、フリーマン(サラ)という愛称を自分たちでつけて、二人だけの特別な手紙を送りあっていました💌
この手紙の一部は、大英博物館に保管されています✨#女王陛下のお気に入り#バレンタインデー pic.twitter.com/Dr9FWVODPl
— FOXサーチライト・ピクチャーズ (@foxsearchlightj) 2019年2月14日
「女同士のドロドロした戦い、愛憎劇」と聞くと恐ろしげだし、観て重苦しく感じてゲンナリした人もいるかもしれませんけど、私は三者三様の「生きるための闘い」だなあ、と感じました。
心身ともに傷ついて、とっくに限界を超えている女王。生きるためには唯一の友人で、愛人であるサラへの依存が必要。
女王の幼馴染で側近として仕えて来たサラは、もう権力なしでは生きられません。「権力」と「女王の寵愛」はセットなので、執着します。
最後の最後にサラが女王へあてた手紙。それを読んで燃やしたアビゲイルは涙を流しました。何が綴られていたでしょう?
サラは「女王」を愛していたでしょうか?それとも「権力」を愛していたのでしょうか?「どちらも真剣に(彼女のやり方で)愛していた」そんな気がしています。
アビゲイルに関しては、王宮にやって来た当初は、たくましい人間ではあっても、そこまで野心家ではなかったと思うんですよね。サラや女王を見て、身の振り方を考えているうちに「貴族に返り咲いてやる」という野心が芽生えて、後は坂を転がり落ちたような・・・
貴族に生まれつきながら「父が賭けに負けて、景品としてドイツ人に差し出された」という、最悪の転落経験をしたアビゲイルにとっては、生きること=身の安全=貴族の身分。そのために女王の寵愛にも執着したのだと思います。
自然光撮影・広角レンズの効果は?
#女王陛下のお気に入り
悲喜はたしかに描かれるけど
感情をかきたてるような演出がないせいかすごい悲しいな
ハラハラドキドキ
わ〜!よかった
こいつ許せんな
とかなくてそうなるか、だよなあ
なるほど、次はどうする…
って女たちを観察しながら
幸せや生きることについて、考えた^^ pic.twitter.com/xn95O7xn6B— かおり🎩映画大好きミーハー主婦 (@kemcy15) 2019年2月20日
音楽が独特でした。色がなくすべてのモノクロ衣装や、現代風のセリフは、あえて史実から逸脱させていて遊びがいっぱい。そして自然光と、広角・魚眼レンズでの撮影が印象的。
「広角撮影のおかげで、感情移入できる」という意見と「広角撮影のおかげで、感情移入しない」という意見、ネットでは両方を見かけたけど・・・^^
私は感情移入しない派でした。
歪んだ画面を通して、人間たちの奇妙な振る舞いを遠くから観察している感じ。善も悪もない。誰にも感情移入せずに、この人にとっての幸せは?愛は?って考えていました。人によると思いますが。
男など存在しないかのよう。怯まない屈しない女たち。
サラの夫役は、BBCのシャーロックシリーズでマイクロフトを演じたマーク・ゲイティス!ハーレー卿を演じる、ニコラス・ホルト!とっても素敵な俳優さんたちが、主役の女性陣を引き立てています。
18世紀イギリス、女性には参政権も財産権もなかったと思います。たぶん。そんな世界だというのに、中枢で女たちが国を動かす権力を握っているという面白さ。しかも寵愛を競ったり、謀略アレコレの片手間に。
男たちといえばプードルみたいなカツラをかぶって「男はプリティでなきゃ」とアホなお化粧をして、アヒルレースや裸の男にフルーツ投げたり、狂気じみた遊びに夢中。自分たちが仕切っているつもりで女に手玉に取られ、結婚してやったつもりで出世の道具にされ・・・滑稽。
メイシャムから好意を寄せられたアビゲイルが、あっけらかんと「私あんたと結婚するわー!」「ハンサムね」とか言うものの、恋心も恥じらいもなく、結婚初夜はあんなだし(笑)男を出世や謀略の道具としか見ていないのが、まったく清々しい。
ハーレー卿に圧力をかけられても、全然屈しません。それどころか逆に「ウソ泣き」で男を怯ませて「へっ、やったぜ」みたいな。女の武器を使う唯一の場面ですが、みじんも湿っぽさがないのです。もう面白すぎる。
ラストシーンとウサギの意味を考えた
女王は昼寝中。側に仕えるアビゲイルは、読書しながら戯れにウサちゃんを踏んづけてみます。基本的にウサギは鳴かないはずですが、ヒールで踏まれて「ピギー」みたいに叫びます。
わが子同然のウサギの悲鳴が耳に入り、目覚める女王。薄々感じてはいたでしょうけど、ここで「何かがおかしい」と過ちに気づいたと思います。
サラはウサギたちを可愛がりはしなかったものの、女王が大切にしているものを傷つける、そんなことは絶対にしない人間だった。それはサラの真心であり、愛だった。
でも、永遠に失われてしまい、戻らない。
女王は起き上がり、アビゲイルに「足を揉め」と命じます。怒りと悲しみを諦めを通り越したような、女王の表情。
アビゲイルも何かに気づいたような表情変わっていきます。
下働きの身分から登りつめ、願っていた貴族の地位を得た。そのために何でもやってきた。今や財産もあり、宮殿で暮らしている。
貴族たちと遊びに興じて、女王に仕えていれば、安全が保証される。生きるために愛人でいればいい。選択肢はない。
あれ?あれ?あれ、おかしいな
借金のカタに、キモい男に売られて奴隷人生を送る、そんなのだけは嫌だと思ってきたけど・・・今の境遇と、実は大差ないんじゃ・・・?
いや、そんなはずはない。そんなはずは・・・
っていうね、ラストはそんな感じに思えましたが、どうなんでしょうか。
そしてアビゲイルの困惑の表情に重なる、ウサギの群れは何をあらわしているのか。
女王が失った子どもの代わりにウサギを愛したように、アビゲイルもサラの「代わりのウサギ」でしかない。
なんなら、女王もアビゲイルも、見ている観客も「思い通りに生きているつもりで、実は選択肢がなく、内心諦めながらカゴの中に生きる、いつでもすげ替え可能」って意味で、ウサギなんじゃない?どう思う?ねえねえ?
そんな風に問われている気がしました。
面白い?つまらない?女王陛下のお気に入りの評価は?
アメリカの老舗映画批評サイト、RottenTomatoesでの今日のところの評価(点数)は94%、批評家からは超高評価な一方で、ユーザーからの評価は66%。これって玄人向けでわかりにくいってこと?
辛口評価は「退屈」「意味がわからない」「グロテスクで不快」「嫉妬、裏切り、後味が悪い」こんな感想が多めです。
逆に高評価の感想は「ユニークな衣装」「絵画のような映像」「演技の素晴らしさ」「機知、ユーモア、愛」こんな感じでした。
私は広角レンズのおかげか?誰にも感情移入せず、ただ俯瞰して人物の思惑を考えたり、展開を楽しむことができて、面白かった!です!
ヨルゴス・ランティモス監督作品を初めて観ました!次は不思議なコメディ「ロブスター」をみてみたい。
「ロブスター」にはレイチェル・ワイズ、オリヴィア・コールマンも出演。ヨルゴス・ランティモス監督作品は、動画配信サービス
・女王陛下のお気に入り
・ロブスター
・籠の中の乙女
本ページの情報は2020年3月時点のものです。 最新の配信状況は
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